「同性愛者の権利を認める判決の一周年」
(週刊金曜日 2010年7月)
7月2日、インド、デリー高等裁判所によって下された「同性愛者間の性交渉は合法」とする判決の一周年記念イベントが開かれ、会場となったムンバイのダウンタウンには200人程のゲイ・レズビアンと彼らの支援者達が集まった。
「自然の摂理に反する、男性、女性、動物との性交渉」を禁止した刑法第377条によって、インドでは1861年以来同性愛は違法とされてきた。 これは当時この国を植民地化していた英国によって定められたものだ。起訴されることは少ないものの、この法律によって同性愛者が警察などによって嫌がらせや脅迫をうけることは日常茶飯事であったという。
経済的には近年急速な発展をとげ経済大国化するインドだが、性や結婚の問題に関してはまだ保守的だ。婚前交渉や婚外交渉などを原因としたHonor killing (家族の名誉を汚した、として当事者を殺す)なども後を絶たない。同性愛に対しても一般社会で正しく認知されていないなか、昨年のデリーの判決は画期的といえるものだった。
この判決はゲイ・レズビアンの権利グループや、エイズ教育活動グループなどの長年にわたる啓蒙活動が実を結んだといえるが、特にエイズ教育活動グループは、「同性愛を違法として社会の闇に押し込めておくことは、エイズ患者を減らすための効果的な教育活動への大きな障害になる」として、同性愛者の権利を求めてきた。現在インドは南アフリカと並び、世界で最も多くのエイズ人口を抱える国のひとつとなっている。
それでも昨年の判決に対し、「同性愛は神の意志に反するもの」とするヒンドゥ、イスラムやキリスト教指導者達の反発は続いており、さらに都市部を一歩離れればまだ同性愛に対する嫌悪感は根強く残っている。レズビアンの女性が、「同性愛の病気を治すために」強制的に何人もの男性と性交渉をもたされたという報告もされている。
「まだまだ戦いは続いています。これからの問題は、いかに同性愛に対する社会の偏見を変えていくかです。インド人として、人間として誇りを持って生きていくために!」
ステージにあがった女性が声高に叫ぶと、会場は大きな声援に包まれた。
